水木しげる「河童の三平」
2007年 08月 04日
私が読んだ本:水木しげる「河童の三平」全3巻(サンコミックス、朝日ソノラマ)
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山奥の一軒家におじいさんと住む河原三平は河童とそっくり。ひょんなことで河童一族と知り合い人間界に勉強のため派遣された河童の三平を家の連れ帰る。それから、こびとの親子、タヌキの子供、サラリーマン死神などと繰り広げる奇想天外の物語。
河童の三平は「ゲゲゲの鬼太郎」、「悪魔くん」とならぶ水木しげるの三大代表作のひとつですが、紙芝居、兎月書房の貸本版、月刊ぼくら版、少年サンデー版などいろいろなところで描かれており、微妙に違うので、作品について語る場合、どの本で読んだかが重要です。
私が愛読しているサンコミックスの河童の三平は、どうも少年サンデー版だったようで、その後、貸本版も読みましたが、昔から私の脳裏にサンコミックスの河童の三平が擦り込まれているらしく、この本で読む河童の三平が一番好きです。
河童世界を救うため河童大王ストトントノスの秘宝を求める壮大な旅を描いた「七つの秘宝」は、インディージョーンズの前にすでに、神秘考古学の分野を描いた傑作だと思います。
生(この世)と死(あの世)を行ったり来たりするのは、水木作品の特徴の一つで、しばし読者の死の恐怖を和らげてくれます。この作品でも、おじいさんが死に、最後には主人公の三平も死んで死神にみちびかれながらあの世に旅立ちます。それぞれの死は淡々としかし厳然と描かれます。三平は鬼太郎のようなオールマイティな存在ではないので、かえっていつか人に必ず訪れる死というものを感じざる終えません。おじいさんは、三平にご先祖様のことを話して旅立ちました。しかし、三平の場合は、おかあさんをたつたひとり置いて突然逝ってしまいます。河原家は断絶してしまったのでしょうか?なんとも寂しいラストです。
また、この作品では、「屁」が重要な役割を果たしています。特に「屁道」に登場する無臭仙人が語る「「屁の道」は きびしくつらく、また、むなしいものである。」という言葉は、私も何十年もの間座右の銘とした名言です。
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今でも読める本:水木しげる「河童の三平(全)」(ちくま文庫、筑摩書房)
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by comic_robo
| 2007-08-04 00:48
| 少年マンガ