大和和紀「眠らない街から」「A列車で行こう」
2007年 07月 04日
私が読んだ本:大和和紀「眠らない街から(KC177)」、「A列車でいこう(KC178)」
(KCフレンド、講談社)
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大和和紀というと「はいからさんが通る」が有名ですが、実はたくさんの短編、中編の秀作を描いています。私の実家には、初期のものを中心に結構残っていると思います。
その作品群の中でも、特に「眠らない街から」「A列車で行こう」は大好きで、今でも手元に置いて何回も読み返している本です。
内容は、銀座の古いビル(はちのきビル)を住居とする親娘を中心に、ビルの住人や銀座を浮遊する人々の生き様を描いた人生ドラマといったところでしょうか。夜の街は、昼間は厚化粧が取れた殺伐とした街の姿を見せます。銀座も昼と夜とでは別な顔を持つ典型的な多重人格タウンです。さらに、この作品では、大人と子供の感性のコントラストも織り込みさらっと人生模様を描いています。このようなさっぱり感が大和和紀作品の特徴の一つだと思います。
ところで、何でこの作品が好きなのかな?と考えてみるに、古き良き時代の雰囲気を残した銀座というシチュエーションが懐かし物大好きな小生の琴線に触れたのと、場所がらバーや居酒屋が登場するところがお酒好きの私の感性に合致したのでしょう。そういえば、私が気になる作品は夜の街や酒場が出てくる作品が多いかもしれません。
「A列車でいこう」で、徘徊老人となってしまったかつての花形ジャズトランペッターのハリー老人が銀座の歩行者天国でトランペットを吹くシーンではいつも感動してしまいます。まだこんなこと言うの少し早いかもしれませんが、若者とは言い難い年齢と風貌となった私にとって、ハリーの姿が身につまされるのかもしれません。
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今でも読める本:大和和紀「眠らない街から」、「A列車でいこう」(KCデラックス、講談社)
品切重版未定
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by comic_robo
| 2007-07-04 20:13
| 少女マンガ